月になった友人。

2016年2月26日

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1年前、姉のように慕っていた大切な友人がこの世から去ってしまった。
「タイは暑くて病気が悪化するから嫌い」
といつも言っていた彼女。
ソンクラーン(タイのお正月)のタイで最も暑い時期に帰省している最中、持病の喘息が引き金となってしまった。

生前、私は彼女から得たものが多く、今更ながら彼女が教えてくれたことを噛み締めるゆえに、最近彼女をとても近く感じることがある。
というのもこの1年間、それを証明するような不思議な出来事がたくさんあった。

新年、友人とバンコクにある彼女の家を訪れてから3日目、
他の友人へのお土産だった日本酒が彼女の仏壇の横に置いてあったことを知った時。
私はそんなことは有り得ないと言ったのに、彼女の家族はお酒好きだった彼女の仕業だとすぐに納得していた。

また、次の日には友人宅へ行った際、お酒を注いだ彼女のグラスを用意し、手を合わせると急にその家だけが停電になったこと・・・
私は驚きすぎて、しばらく固まってしまった。
家族に話すとそれもまた、全く不思議なことではないと言っていた。
彼女の妹は、姉の部屋に行くとよくなるのよって普通に話していた。

私は生まれてからいわゆる、霊体験と呼ばれていることを一度も経験したことがないし、疲労からくると言われる金縛りすらなったこともない。
でも、彼女が傍にいるんだと言い聞かせると、自分でも不思議なほど気持ちが穏やかになった。

帰国の日、彼女のお母さんと友人が空港まで車で送ってくれた。
朝の4時頃ホテルを出発し、まだ外は真っ暗な中で一際に大きな月が出ていた。
お母さんは、
サシトーンศศิธร(彼女の本名)はね、月という意味なのよ
月のように綺麗になるよう命名したの。
見て、月がこの車を追って見えるように
娘はあなた達の事をこんな風に見守ってくれるからね。」
と言ってお母さんはポロポロと泣きだした。
物語のように、本当に大きな大きな月で、単なる偶然ではないような気がした。

月に見入っていると、1週間に1回は空港まで運転している友人が、その日に限って道を間違え、通常は40分で到着するところを1時間半もかかってしまった事も、お母さんは帰ってほしくないから彼女がいたずらしているんだよと納得をしていた。
「絶対そうだよね!」
私達もここまでくると納得せざる得なかった。

彼女は、いつも「日本人のノーンメー(私)がタイ料理を教えることが本当に嬉しいの」と言ってくれ、タイレストランで知らない隣の席の人に声をかけて、
「タイ料理好きなの?この子ね、タイ料理教室やっているんだよ。来て~!」
と少々強引なまでに声をかけ、いつも宣伝部長のように応援してくれた。
彼女が声をかけてくれた方々は今でも教室に通ってくれている。

明るい性格で、顔の広い彼女の周りにはいつも人がいた。
「タイ関係の仕事をするなら、タイを知らなきゃだめ。タイは日本と違うから。だから信頼できる人を紹介してあげる」
タイ人社会、タイ人の性格・・などいろんなことを彼女から学んだ。
そして彼女が紹介してくれた友人達は、今もお付き合いをしてくれている。

今日、4月19日は彼女の命日。
彼女が教えてくれた丸鶏のハーブ蒸しを作った。
gai neung samunprai

ナムプリック、カオマンガイ・・・いろいろ教えてくれたけれど
その中でも一番おすすめと教えてくれた丸鶏のハーブ蒸し。
自分よりも人を大切にする彼女の優しさが伝わってくる味。
本当に美味しかった

彼女の味をレシピ化した彼女のおすすめ料理を皆様に知っていただき、作っていただたら嬉しいです。

☆ガイ・ヌン・サムンプライ(5人分)
<材料>
丸鶏(小) 1羽 *お腹の中の水気も拭き、ソープーカオを鶏全体にまぶし塗りこむ。
ディル 適宜

A・・・パクチー、玉ねぎ以外をフードプロセッサーで攪拌する
レモングラス 2本
カー 10g
バイマクルー 5枚
にんにく 2片
玉ねぎ 1個(みじん切り)
パクチー 2本分(根ごとみじん切り)

B
塩 小1
砂糖 小2
油大2

<作り方>
1. AとBを良く混ぜ、攪拌した丸鶏の中にぎゅうぎゅうに詰め込む。
 
2.お尻を楊枝でとめて深皿に入れ、沸騰した蒸し器で60~70分強火で蒸す。(途中で蒸すお湯を足してください。空焚きする恐れがあります。)

3.蒸しあがったらスープごと皿にサーブし、ディルを盛る。
鶏を解体して中のハーブ、蒸し汁と共に食べる。味が薄ければシーズニングソースを。
フランスパンともよく合います。

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